【特別編】Early Bird's Quote:Motivation and Talent

みなさんは、人生でこれだけは達成したいという夢や大きな志はありますか。「好景気」が実感できない中では、日々の生活に精一杯でなかなか長期の展望は持てないのが現実ではないでしょうか。

「自分には人から称賛されるような才能もないし」「会社がもっと社員の成長を促すことにお金を使ってくれてもよいのでは」と、環境や才能に恵まれないことを嘆き、なかば諦めの境地にいる人も多いかもしれません。

しかし、人生は思ったほど長くはありません。毎日の雑事に心を奪われていると、あっという間に老いが自分を蝕み、「やらなかったことへの後悔」に苛まれることになります。
今日の言葉は、工場作業員から身を起こし「鋼鉄王」とまで呼ばれるようになった、この人物です。

People who are unable to motivate themselves must be content with mediocrity, no matter how impressive their other talents.
– Andrew Carnegie (U.S. industrialist and philanthropist, 1835 – 1919)
自分自身で自らを奮い立たせることができない者は、他の才能がどんなにすばらしいものであったとしても、凡人に甘んじるしかない。

スコットランド生まれのアンドリュー・カーネギーは、1843年に移民として一家でアメリカに渡りました。

カーネギー少年の父であるウィルソン・カーネギーは、製造業者から材料の委託を受けて仕事をする手織り職人でしたが、当時のイギリスの織物産業は機械化が進み、手織り職人は次第に必要とされなくなっていました。そこで、新天地に活路を求めてアメリカへ移住したのです。

当時のカーネギー家は非常に貧しく、当然アメリカへ移住する費用も借金して工面しました。当時13歳だったカーネギー少年も、ペンシルバニア州ピッツバーグで織物工場の作業員として働き始めました。1日16時間、週6日労働でした。

当時の給料は1ドル20セント。現在のレートでわずか133円です。ただ、これは時給でも日給でもありません。なんと週給なんです!

しかし、カーネギーはその境遇に落胆することも満足することもなく、徐々に産業界で当確を現していきます。

1850年には、ピッツバーグ電信局で電報配達の仕事に就きます。給料は週給2.50ドル。頭の良い少年だったカーネギーは、ピッツバーグ企業の重要人物の顔と名前を記憶して関係を築くとともに、モールス信号
を耳で聞き分けるスキルを習得して電信技士になることができました。

その後、ペンシルベニア鉄道の西部地区支配人であったトマス・A・スコットがカーネギーを秘書兼電信士としてヘッドハント。以来、このスコットのすすめがあり、母から借りた資金で初めての株投資を始め、さらに鉄道用寝台車両の商業化をめざす今で言うベンチャー企業に投資、起業家への階段を登り始めます。

その後、南北戦争で属していた北軍の勝利や、キーストン鉄橋会社の設立、さらに鉄鋼の製造法を研究し、ついにカーネギー鉄鋼会社の創業して「鉄鋼王」と呼ばれるまでになりました。

引退後は、篤志家としてアメリカ各地に図書館を建設したほか、ピッツバーグ工科大学を設立しました。1891年に建設されたカーネギー・ホールは日本人の私たちにとってもよく知られた建物ですね。

こうした、さまざまな苦労を経験しながら工夫と挑戦を重ね、アメリカンドリームを体現したカーネギーは、お金儲けのためよりも社会の役に立つことを第一に考えていたといいます。

翻って、現代の日本社会。6月29日には「働き方改革関連法」が成立しました。年功序列や終身雇用を特徴とする日本型の働き方は、高度成長期にはうまく機能していましたが、バブル崩壊から低成長期に入り日本人の価値観が多様化するにつれ通用しなくなってきました。企業も将来にわたって安定した収益を上げ続ける見込みが持てなくなり、カネ余りと言われる現在の経済状況でも、従業員の昇給には及び腰になっています。

加えて、AI(人工知能)や、RPA(ロボティックス・プロセス・オートメーション)によってホワイトカラーの単純仕事はコンピュータが主な担い手になっていきます。
このような先の見えない世の中では、現状に甘んじていれば数年後には自分の仕事がコンピューターに取って代わられることも十分考えられるでしょう。

しかし、何よりも大事なのは、こうした世相を敏感にキャッチし、自分の持っている才能や得意なことは何かということを自分に問い直すことが大事です。そして、そうした地道な作業を通して、自分で自分を奮い立たせる能力が、どんな才能や経歴よりも大事であると、カーネギーは呼びかけています。

単に大富豪であるだけでなく、少年時代から苦労して成り上がったカーネギーだからこそ、説得力のある言葉であると言えるでしょう。

【参考】
Wikipediaアンドリュー・カーネギー
NAVERまとめ:週給1ドル20セントから登り詰めた アメリカの鉄鋼王 アンドリュー・カーネギー 16の教え
・幼児教育コペル:「鉄鋼王」カーネギーを育てた母の教え
・DIAMOND ONLINE:世界のビジネスプロフェッショナル 経営者編:アンドリュー・カーネギー

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